気になる壁画 地域の人を楽しい気持ちに!
都庁から歩いて5分、十二社通りに面している工事現場の仮囲いに、ユーモラスな絵を描いているのは、タオルを頭に巻いたひとりの男。国内では東大阪市や下北沢のほか、イタリアを中心に海外でも活躍する壁画家の「MOT8」さんだ。8月8日から描きはじめ、今日で5日目。ちょうど輪郭を描き終えたところだというMOT8さんにお話をお聞きしました。
–—-ずいぶんと巨大キャンバスですが、どのくらいあるんですか?
15メートル×3メートルあります。けっこう長いですよ。
—–輪郭を取るだけでも大変な作業ですが、今回のテーマは何でしょうか?
この囲いの中には、新しいマンションが建つので、人の流れも多くなるでしょうね。新しく来る人、もともと住んでいた人、そして都市のなかに残っている自然、猫や虫などの生物など、お互いに共存しながら、街を作り上げていく……「都市と共存」をテーマに構図を練りました。
—–ここはMOT8さんにとって、どんな場所に映りますか?
新しい大きなビルも建っているけれど、熊野神社もあり、下町でもあるけれどオフィス街でもある。昔ながらのものと新しいものが混在するおもしろい場所ですよね。
—–なるほど、住民の方の反応はどうでしょう?
この間、小さな女の子が来て、「私にも描かせて!」というので、筆を持たせたら、僕の真似をして好き勝手な絵を描き始めたんです(笑)。それで、「じゃあ、ここに木を描いてごらん」とペンキで描かせたのが、このツリーですよ!
—–えっ! このツリーですか? 上手に描けていますね!
そしたらまた遊びに来てくれたんですけど、「今度はワークショップのある22日に来てね」とお願いしました。思いっきり塗ってほしいですね!
—–ワークショップは誰でも参加できるのでしょうか?
もちろんです。特に予約もいらず、ふらっと来ていただければ。ところどころ描かずに空けておくので、塗り絵の感覚で塗れますよ。近所の人たちのコミュニケーションの場にもなるでしょうし、記念になるので、通るたびに楽しい気持ちになればいいなと。
—–アートがご近所の方たちのコミュニケーションの場になる…素敵ですね!
ええ、ストリートカルチャーといってもいいと思うのですが……その街、その街に合わせて描いています。表現方法のひとつとして「壁画」を知ってもらえたら。土地の方が喜んでくれるような絵が完成したら嬉しいです。
■終わりに
MOT8さんとお話している最中にも、近所の方が珍しそうに立ち止まって写真を撮ったり。アートの敷居を下げてくれるような、誰でも気軽に楽しめる作品になりそうな予感がします。これから8月30日まで、少しずつ完成していく絵の前を通り過ぎるのは楽しいですね。遠くの人もお近くの人も22日のワークショップに遊びに行ってみてください。
■展示とワークショップ
展示会場:「ザ・パークハウス 西新宿タワー60」建設地仮囲い(南側道路沿い)
十二社通りの熊野神社交差点と成子坂下交差点の中間。新宿スクエアタワーの向かい側にある工事現場。(西新宿5丁目-10付近)
制作期間:8月8日~30日(天候によって前後する可能性も)
展示期間:8月31日~(フェスタ後も掲出予定)
ワークショップ:8月22日10:00~17:00(雨天中止)
■プロフィール
MOT8
1972年 東京生まれ、東大阪在住。
2003年から11年までイタリアを拠点に壁画やPOPアート活動を行ってきた。キャラクターをメインに、壁画・絵画・イラスト・フィギュアといった多方面で活動。現在までに大阪府や京都木更津市と壁画の共同事業を行ったり、南港ATCの床のペイントをしてきた。2015年では、個展、さらに壁画企画拡大中。また、アーティストとしても、ミラノや大阪、東京などで展示会を開催。