これは見逃せない…新宿中央公園に砂の巨大ゴジラが出現!
都庁を見上げる新宿中央公園に、突然、出現した50トンもの砂山。近づいてみれば、砂の山からまるで発掘されたかのようなゴジラの顔が飛び出しています!
ゴジラの砂像を黙々と作り続けるのは、世界中の砂像イベントにひっぱりだこの彫刻家、保坂俊彦さん。ヘラで削っては砂を空気で飛ばし、水や定着剤で固めています。
ギラギラと容赦なく照りつける太陽に「暑いですね~!」と汗をぬぐう保坂さんに、作業の合間を縫ってお話をお聞きしました。
—–今日で何日目ですか?
5日目です。あと残り5日ですから、ちょうど半分ですね。都庁の部分を作るのに、3日かかってしまって。意外と都庁、難しいんですよね。
—–かなり精巧ですね! ところで砂はどこから持ってきたんですか?
千葉の館山です。トラック4台で運びました。館山の砂ってキメが細かくてよく固まるんですよ。粗いとなかなか固まらないんです。
—–砂像を作るのに、向き不向きの砂があるんですね。それでも、雨が降ったら崩れないか心配です。
ここで制作していると、道行く人たちから、よく話しかけられるんですよ。「雨は大丈夫なのか?」「本当に砂だけなの?」って(笑) 砂と水で形を作って固まると、その上から糊を水で溶かした定着剤を吹きかけますから、少々の雨くらいなら大丈夫。
—–へー! 何か芯材でも入っていて中は空洞なのかと思ってました! 高さは何メートルなんでしょう?
3、6メートルです。高さには制限があるので、その制限のなかでゴジラの迫力が出せるよう、デザインしてみました。今は頭の上だけですが、だんだん全体ができてきますよ。新宿区さんから「テーマはゴジラで」と言われたときには、「ゴジラ!? ああ、小さいころ、映画で見たゴジラか!」と驚きましたね。さっそくフィギュアをネットで買ったり、東口の新宿東宝ビルにできた「ゴジラヘッド」も見に行ってデザインの参考にしました。
—–保坂さんが、人生で一番最初に砂像を作ったのはいつですか?
芸大の彫刻の学生だったころ、母の田舎である秋田の釜谷浜で、「サンドクラフト in みたね」というイベントが始まったんです。手伝わないかと声がかかって……第一回目に参加したときは、砂像を作るのは初めてだったんです。学校ではやらないですから。それでインドの神様である象の顔の「ガネーシャ」を作りました。これよりも、ずっと小さい砂像ですよ。
—–それから、釜谷浜だけではなく、全国あちこちのイベントで声がかかって、今では世界各地でも制作されていますよね?
ええ、いろいろなことがありました。ドイツで2008年に開催された「砂像世界選手権ソロ部門」で3位を獲得したときは嬉しかったんですけど、表彰式の5分後に、突然、ひょうが降ってきて作品が穴だらけになったり(笑)、台湾の海岸で制作したときは38度近くて、頭がくらくらしましたからね。
—–自然のなかでの制作はなんとも過酷ですが、砂だけでこれだけのアートができるとは驚きです。
小さいころ、みなさん、海岸で砂を掘って楽しく遊んだことはあるでしょう? サンドアートの存在はあまり日本では知られていませんが、ぜひこれを機会に親しんでもらえたら嬉しいですね。
■終わりに
ちょうどインタビューが終わりに近づいた頃、怪しい雲が近づいてきたかと思うと大粒の雨が。あわててブルーシートをかける保坂さん。まさに自然相手! 自然の素材だけで作るダイナミックな作品をぜひ見に来てください。完成は18日ごろですが(天候により前後)、少しずつ形になっていくゴジラを見られる今もなかなかおもしろいですよ。
■展示紹介
場所 新宿中央公園 水の広場
(都営大江戸線「都庁前」駅 A5出口出てすぐ)
日時 【彫刻期間】8月10日(月)~8月18日(火)※天候により前後する可能性あり 【展示期間】8月18日(火)~9月27日(日)
作品名 ゴジラ
■プロフィール
彫刻家 保坂 俊彦
1974年秋田県生まれ。
1998年東京芸術大学美術学部彫刻科卒業。
在学中より各種イベントにて砂像の制作を始める。
卒業後、様々な素材による店舗や撮影用の美術品、
ディスプレイ用オブジェなどの立体造形物の制作、商業用原型の製作を手掛け、現在はFADと専属契約。
代表作は、講談社「進撃の巨人」PR用砂像の制作、日清食品「カップヌードル」P R 用砂像制作、「DOOR」等。
世界各国開かれている砂像イベントで、日本を代表する招待アーティストとして活動。特に砂では難しい人体や動物等の細かな表現力に優れている。